脳神経外科コラム

脳神経外科に向いている人

自分が大学を卒業した時代にはまだ現在のような2年間の初期研修が必修化されていなかったため、大学を卒業してすぐに脳神経外科のレジデントになりました。インターネットもそれほど発達しておらず学会のホームページすらあったかどうか怪しい時代に、どうやって重要な決断をしたのでしょうか。この時代に自分が進路に悩む若者であったなら、スマホ片手に志望する研修施設のサイトをくまなく読んだり、「脳神経外科医 忙しい」「脳神経外科医 女性」などと検索したり、あるいはどこかのきらきら脳神経外科医のSNSをフォローしたりするかもしれません。そのうちAIに自分が行く科を選んでもらうサービスなども出てきそうです。

 

このホームページの脳神経外科Q&Aに「脳神経外科に向いているのは、どのような人でしょうか」という質問がありました。確かに自分に向いている職業についた方が効率が楽しく働けそうです。気になります。ただ残念ながら脳神経外科医になって20年以上経った今でも私にはその答えがわかりません。多分挑戦が好きでクリエイティブで好奇心が旺盛な人は向いているでしょう。でも石橋を叩いても渡らないほど慎重だったりちょっとした失敗を引きずってしまうタイプの人も向いている気がします。実際脳神経外科医と一口に言っても専門も働き方も幅広く多種多様です。自分に向いているのか、本当に自分にできるのか、いくら調べても答えはないので、結局のところ何の情報もなかった二十数年前と同様、ある程度の思い込みで決めるしかないようです。一応まだ続いているのでその思い込みもそれほど間違いではなかったと思います。

 

じゃあもう一度大学生に戻ったらまた脳神経外科医?いや、一度で十分なので次は全く別の生き方をしてみたいです。

 

筑波大学脳神経外科 

室井 愛