脳神経外科コラム

研修医諸君!

研修医諸君、少しだけ先輩として君たちへのアドバイス。

 

まず、第一に謙虚であること。どんなに教科書を読んで勉強したとしても、知らないことを自分ひとりで判断してはいけない。知らないことは、素直に知らないと、何でも人に聞けばいい。教科書に書いてあることがいつも正しいとは限らないし、教科書より周りの先輩の言うことの方が信頼できる。知らないことは恥ではない。知らないことを知っている気になっていることが一番いけない。私など、今でも知らないことばかりで、いつも人に教えてもらっている。

 

次に、誠実であること。自分に対しても他人に対しても、妥協はしないでほしい。それが誠実さであると思う。「○○したほうがいいかな」と思ったら、たとえどんなに面倒であってもすぐに行動しよう。「まあいいか」と適当に判断したり、「明日でいいか」と先に延ばしてはいけない。ただし、初めのうちは必ず先輩に相談すること。

 

そして、志、できれば高い志を持ってほしい。「志」は「欲」ではない。「良いポストに就きたい」とか、「誰それより手術がうまくなりたい」とかいった低俗な「欲」ではなく、自分の選んだ道で、ホンモノ、「一流」となることを志として頑張ってほしい。たとえば、外科医の場合、手術が多少上手であっても、経験した手術数が多くても、それだけで「一流」とはみなされない。「一流」が「一流」たる所以はその姿勢にあると思う。

 

残念ながら、もともと世の中は平等ではありえない。自分の処遇など、他人と比べて一喜一憂しても仕方ない。過去を振り返ってばかりいても、将来を案じてばかりいても仕方ない。大切なのは、今、目の前にあることに真摯に取り組むこと。

謙虚であること、誠実であること、志を持ち真摯であること。もし、私たちが人を感動させることができるとしたら、それはそんな「生き様」だけだと思う。

コラム作成者  T.I