脳神経外科コラム

班長会

 「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」は山本五十六元帥の有名な格言である。上杉鷹山の「してみせて 言って聞かせて させてみる」から影響を受けているとされるが、若い医師に対する指導(特に手術手技)の際に使えるお言葉である。

 小生もこの4月に還暦を迎え、年功序列的にいろんな役割が増えてきた。当院では働き方改革に伴い、会議の時間を極力削減してきたが、科内のカンファレンスのように濃密なdiscussionが必要で、減らせないと私が判断したものは時間帯を変更することで対応している。

 

 今年度より、学内のみならず、自治会の班長にも任命(これは毎年持ち回りでたまたま)された。「自治会は、地域住民の自主的な意思による総意に基づき、安心・安全な住み良い豊かな地域づくりをめざして結成された任意の団体であり、地域づくりの中心的な役割を果たしています」と米子市のホームページにある。自治会の活動の一つにレクリエーション等親睦行事があるが、今月(7月)の班長会の協議事項はグラウンドゴルフ大会開催についてであった。ちなみにグラウンドゴルフ(ゲートボールではない)は鳥取県が発祥の地である。会議は公民館で行われ、班長の大半は私より年長者のため、当然オンラインなどないし、連絡手段にSNSは使えない。

 体育部長より、昨年は炎天下であったが、時間を短縮し、なんとか行うことが出来た。今年も予定通りに行いたい旨、提案があった。これに対して、労使交渉に長けていそうな若者(40-50歳代)が、この大会の目的はなにか?この暑い時期にわざわざやる必要があるのか?等、矢継ぎ早に質問をする。いつから行われているのか?雨だと中止なのに、なぜ猛暑では強行するのか?と私も援護射撃。何よりもあなた方の命に係わる、とは口に出せなかったが・・・体育部長曰く、40年前から(当初は他のスポーツであったが)行われているこの地区の伝統行事である。住民同士の交流、親睦を深めることが目的である。会議は踊る、教授会よりもはるかに議論が白熱する。

 

 最後に長老、失礼!自治会長から、当日に熱中症警戒アラートの発令があれば大会を秋に延期するとの裁定が下りる。冒頭の山本五十六元帥のお言葉には続きがある。

「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず」

 

鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経外科学分野 
黒﨑雅道