脳神経外科コラム

海外学会参加の勧め

 このコラムを読んでいるレジデントや医学生の先生の多くは、脳外科医になった後に海外留学をしてみたいという希望をお持ちではないかと思います。また海外留学はたいへんだなと思っている先生でも海外学会には是非参加したいとお考えではないでしょうか。

 

 私が脳外科医になって最初の海外学会では、当時の教授の海外学会出張に同行させていただき、ドキドキしながら拙い英語発表をしたことを覚えています。日本とは違った環境に触れることができたこと、学会後に都市の見学や教授の知り合いの海外大学へ訪問ができたことは新鮮な経験でした。また、普段なかなか話すことのできない他大学の教授とご一緒し、同年代の若手の先生たちとも友達になれるという貴重な経験をすることができました。

 

 残念なことに、この4年間コロナによるパンデミックの影響で海外はおろか国内学会にも参加することが困難でした。若手の先生にとっては、貴重な経験の場が失われていたのではないかと思います。幸い、昨年5月にはコロナ感染は5類扱いになり、徐々に国内、国外の学会ともに以前の状態に戻りつつあります。個人的にはまず2022年9月にイスラエルで行われたAACNSに脳外科学会からの派遣という名目で参加してきました。当時でもテロの懸念はありましたが、現在ではイスラエルとガザ地域は戦争状態となっているため訪問することは不可能です。嘆きの壁に加え、イエス生誕の地、ベツへレム、終焉の地、聖墳墓教会を見学できたことは一生の思い出です。また驚いたことに当時すでに、イスラエルでマスクをしている人は皆無でした。

 

 2023年には、さらにアメリカ、アジア等の学会に参加することができました。アメリカでは円安による懐具合の寂しさを感じ、アジアでは若い国のパワーには圧倒されました。若手の先生、コロナ感染の負の遺産を取り返すのは今からです。是非海外学会に参加して見聞を広げてください。

 

東京医科歯科大学 脳神経外科

前原健寿