脳神経外科コラム

「普通」であることの重要性

皆さんは脳神経外科医と聞いて何を思いますか?

スーパードクター?超人?変人?ワーカホリック?

 

良い印象も悪い印象もあるかと思いますが、「少し変わった人」と思う人は多いのではないでしょうか。

脳神経外科医みんなが学生、研修医の時にスーパーだったのではありません。私自身、臨床実習で脳神経外科に憧れを抱いたものの、同時に入局する同級生のメンバーや

やや熱すぎる先輩方を見て、ごく普通(それ以下?)の学生であった私は「ついて行けるかな?」「体力は大丈夫だろうか?」と不安感に駆られていました。

幸い、これまで元気に脳神経外科医として過ごしてきました。

 

このような私が、今になって一番重要と思っているのは「普通の感性」を忘れないことです。

家族が病気になったときの不安、難しい手術への恐れ、そして、趣味に向かう楽しさ、これらの感情は普通の人間が持つ感情です。

これらの普通の感情を大事にしながら、目の前の患者さんの治療を行うこと、手術の準備をすること、もちろん、余暇はしっかり家族や友人と楽しむことが大事と思っています。

「普通の感性」を失った手術機械には、良い治療はできません。

学生、研修医の皆さん、脳神経外科医になることは特別なことではありません。

普通の人間が、普通の感覚で職業の一つとして脳神経外科医を選び、人生を送ってもらいたいと思います。

 

「普通」を強調しているのは怪しいですか?「普通でない人間による脳神経外科」に未来はないと信じています。

 

卒前卒後教育検討委員会委員長

徳島大学脳神経外科

髙木康志