脳神経外科コラム

自分にコミットしよう

先週はWBC野球大会で日本が世界一を奪還したことに日本中が熱狂しました。

今回の優勝には、大谷翔平、ダルビッシュ有などメジャーリーグで活躍している選手の貢献は大きいとされていますが、彼らが多くの人を惹きつけるのは何でしょうか。

ただ単に技術的に優れているからでしょうか。野球選手にとっては、メジャーリーグでプレーすることは、小さい頃からの夢だったはずで、私は、彼らが自己実現しているからだと考えています。

 

心理学者のアブラハム・マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」との考えから、人間の欲求を5段階に分けました。

生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の5つで、自己実現欲求が最も高度な欲求とされています。

私は自己実現欲求を「自分にコミットすること」として考えています。

 

脳神経外科医に限らず医師にあっては、「患者」、「医療・医学」へのコミットメントはよく言われることです。

「患者」へのコミットメントは、担当する患者の治療に全力を尽くすことであり当然のことと思います。

「医療・医学」へのコミットメントについては、最先端の研究やacademic活動を行うことで、医療・医学の発展に貢献すべきと思います。

私は、それ以外に「自分」へのコミットメントを大切にしてもらいたいと思います。

脳神経外科医はやはりハードな仕事と言わざるを得ませんが、自分という土台がしっかりしなければ務まらないと思います。

脳神経外科医として働くことで、自己実現をして、自らも人間として成長してもらいたいと考えています。脳神経外科はdivesityを受け入れる診療科です。

もちろん何を持って自己実現というかは個人によってはさまざまだと思いますが、それぞれの立場で花を咲かせて、「自分にコミット」して欲しいと願っています。

 

九州大学大学院医学研究院 脳神経外科

吉本幸司