脳神経外科コラム

何とかする

これを読んでくださる方は前途揚々の若い先生方でしょうね。私も同じような年代の時はあれもこれもと色々と新しいことをやりたいと思っていました。

実際は、色々とうまくいかず諦めたり、方向転換したり、思わぬところで道が開けたりと、一喜一憂しながら過ごしてきました。兎角、この世は自分の思うようには進みませんね。

 

想定外の連続ですが、それを楽しむことができたら、それも才能でしょう。でも、脳神経外科に惹かれた先生は、やはり何かしら脳神経外科医の才能があると思いますので、ご自身の直感を信じてこの道を進んで行かれるのが良いと思います。

 

どのような状況で決めたのか、あるいは決めざるをえなかったのかは重要ではなく、決めたからにはそれが正しかったと信じて努力するしかありません。

努力は報われる、と信じたいですが、大抵は望んだ成果を手に入れることはできません。でも努力しないことには何も始まりませんし、自分が最初に望んだ成果とは違うところで、その努力は不思議なことに何となく活きることが良くあります。そういう意味では無駄な努力はない、というのは信じて良いと思います。

 

あるがままでいくのか、あるべきものを目指すのか、自分の進路に関してはどちらでも良いような気がします。若い頃からしっかりとした自分を持ち、あるべきものを目指す先生は立派ですが、私自身は前者でどうして良いか分からず目の前のことを一生懸命してきました。それでも何とかなってきましたが、色々な施設で勉強したり、海外留学し評価の尺度が1つではないことを身をもって体験してきたことが良かった気がします。いいか悪いかは別として、自分が正しいと思うことを本当か?と一度別の角度から考え直したり、

他人から見たら自分はどう見えるだろうか、と考える癖がつきました。

 

今は若い脳神経外科医を指導する立場になりましたので、折角、この道を選んでくれた先生方を何とかするようにしています。ただ、患者さんの治療に関してはあるがままでは

駄目で、しっかり検討してあるべき治療をなるべくリスクを避けるように最大限に努力し、実際に行い続けることが一流の脳神経外科医への道だと思います。

 

一緒に精進していきましょう。

三重大学大学院医学系研究科脳神経外科

鈴木秀謙