10年後の皆様へ
このコラムを目にしている若手の先生たちの多くは、10年後には脳神経外科医として充実した生活を送っていることと期待しています。さて十年一昔という諺がありますが、これはご存知のように「世の中は移り変わりが激しく、10年も経つともう昔のことになってしまう。」という意味です。私も教授になって約10年が経過していますが、教授就任時に決めていた目標のうち、達成できたこと、達成できなかったことさまざまです。もちろん2年前にはじまったCOVID19など10年前に想像できなかったことの影響もありますが、達成できたことは純粋に喜び、達成できなかったことに関してはその原因を分析して、次への目標を立てる必要があります。
先生たちも10年後を想像してください。おそらく卒後6年目にある脳神経外科専門医は終了しているはずです。その後は、臨床を研鑽し専門領域を決めようとしている先生、大学院研究を行い海外留学等も視野に入れている先生などさまざまでしょう。また10年後はコロナとはどうなっているのでしょうか。新たな医療機器、新たな薬剤の導入が現在の脳神経外科治療体制を変えているのでしょうか。未確定な要素は多く想像がつきにくいかもしれません。
最初に10年も経つと昔のこととなってしまうと言いましたが、先生たちが最初に学ぶべき脳神経外科の基礎は大きく変わることはありません。習得には日々の努力が必要です。また脳神経外科は脳というまだ十分の解明されていない臓器を扱う学問であり、これからもますます発展していく分野です。大雑把で構いません。脳神経外科医として10年後の自分はどうありたいか、何をしたいかという目標を立ててはいかがでしょうか。10年間はあっという間です。自分の10年後を想像すること、そしてそれに向かって努力することは、医療者としての充実した生活につながると信じています。
東京医科歯科大学脳神経外科
前原健寿