脳神経外科コラム

脳神経外科のすすめ

このコラムを開いた医学生・初期研修医の皆さんは、何らかの形で脳神経外科に対して興味をお持ちの方だと思います。脳そのものへの興味、脳や神経の疾患への興味、脳神経手術への興味、様々だと思います。

 

それでは脳神経外科への印象はどのようなものでしょうか。

 

脳神経外科は、新専門医制度でも「基本領域」の診療科であり、その治療・研究分野は非常に幅広く日々進歩し多岐にわたります。一般的に脳神経外科の手術というと多くの皆さんは、顕微鏡を用いた手術を想像するかと思います。長く中心的に行われている顕微鏡手術だけではなく、近年では、神経内視鏡を用いた手術の著しい進歩、最近では、外視鏡を用いたヘッドアップ手術も導入され盛んになっています。まさしく多様化の時代です。

 

脳神経外科では、手術が治療の主軸とはなりますが、第一線の手術以外にも、神経学的診断・画像診断・内科的治療や放射線治療、リハビリテーションにも携わり、まさしく非常に多くの脳・脊髄の疾患の予防・救急医療・急性期治療・慢性期治療を担っています。国民病と言っても過言ではない脳卒中を考えてみると、脳神経外科の立ち位置や役割は分かりやすいかと思います。研究に関しても基礎研究から臨床研究まで、様々な脳神経学的な分野・領域で活発に行われています。また、海外留学もお勧めです。海外留学は、私にとってもとても貴重な経験となりました。研究や論文発表はもちろんのこと、留学時代に知り合ったアメリカ人たちとのつながりはその後の人生を豊かにしてくれるものとなりました。

 

どのような興味の入り口であっても、一人一人の希望や関心に則したものが必ず見つかる診療科であると自信をもってお勧めできます。脳神経外科の門をたたいて入ってみると、当初とは異なる治療法や分野に興味をかきたてられることもあると思います。若い皆さんが医師として充実した人生を歩めることを切に願います。

 

 

卒前卒後教育検討委員会委員
東京女子医科大学脳神経外科学講座
川俣貴一