脳神経外科コラム

好きこそものの上手なれ

多くの問題点を指摘されながら2018年に始まった新専門医制度も少しずつ軌道に乗りつつあるが、将来の専門分野の選択は昔も今も医学生・研修医の最大の関心事である。職業柄、医学生や研修医と接する機会は多いが、彼らの多くは脳科学・神経科学は奥が深く学問的に興味深い分野と感じているものの、脳神経外科を含む神経科学領域を専門としたいと考えている人は比較的少ないようである。彼らと話していてしばしば感じるのは「神経学はとっつきにくい」という先入観が強いこと、そして脳神経外科に関しては「仕事がきつく家庭との両立が難しいそう」「技術を習得して外科医として一人前になるのに時間がかかりそう」などといったイメージが加わっているようだ。

「脳神経外科医になるのに必要な適性は何でしょうか?」という主旨の質問を受けることも多い。手先が器用であること、体力に自信があること、集中力があること、迅速かつ冷静な判断力を備えていること、協調性に富むこと、などが一般的な回答と思われる。確かにこれらは脳神経外科医としては重要な適性と思われる。しかし最近思うことは、脳神経外科領域の研究・診療に関心をもって楽しく仕事を続けることができるかどうかが最も重要な要素なのではということである。

まさに「好きこそものの上手なれ」で、日々の業務を学術的な好奇心を保ちながらいきいきと働く人と、上述のような才能に恵まれていたとしてもいまひとつ日常業務にやりがいを見いだせずにいる人とどちらが脳神経外科医として成功する、いや充実した人生を送れる可能性が高いだろうか。医学生や研修医諸君は多くの診療科をローテーションするなかで、自身が一生涯ずっと楽しくいきいきと仕事をしてゆける分野はどこだろうかという眼でみてみることをお勧めしたい。

 

群馬大学医学部脳神経外科
好本裕平