脳神経外科医に適した資質
脳神経外科医に適した資質とは何でしょうか?「手先が器用」「勉強ができる」「根性がある」等、色々と挙げることができるかと思います。私たち脳神経外科医になった者としては、「優秀」など聞き心地の良い言葉は、うれしいかもしれません。しかし、今、私が最も重要だと思っているのは「共感力」言い換えると「患者さんに寄り添う心」と考えています。それも、同じ目線で、患者さんとともに苦しみ、悩み、ともに病を乗り越えていく「心」が最も重要な資質かと考えています。「当たり前やろ!」との声が飛んできそうですが、本気でそう思っています。技術の習得、学問の探究など私たちが力を入れるべきことのモチベーションは、「できる医者になる」「かっこいい外科医になる」などではなく、「多くの患者さんの苦しみを救うことができる医者になる」ことであってほしいと思っているのです(私もできているとはいえませんが)。かつて、私が脳神経外科医を目指した時、手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」のファンでした。ブラック・ジャックは天才外科医で、技術至上主義の外科医として認識していました。最近、電子書籍で「ブラック・ジャック」を大人買いして読み返してみたところ、ブラック・ジャックは技術至上主義者などではなく、ヒューマニズムに富み、「患者さんの苦しみを救うことめざした医者」でした。しかも時には挫折し、無力感にとらわれながら外科医を全うしている医師でした。私たち外科医も、日々の中で充実感のみでなく、無力感にとらわれることもあります。しかし、「患者さんに寄り添う心」を失っていなければ、目の前の患者さんに力を尽くせると思います。この心を忘れなければ技術や勉学はあとからついてきます。
若い皆さんも、目の前の患者さんを救うために力を尽くしてもらいたいと常々考えています。もちろん仕事中のことです。24時間とはいいません。「いつも、そうしています!」、それなら、あなたは最高の脳神経外科医になることでしょう。
卒前卒後教育検討委員会委員長
徳島大学脳神経外科
髙木康志